各メーカーの働き改革

改正された労働基準法が2019年4月1日に施行され、2020年4月1日以降は中小企業も含め残業時間の上限規制が適用されました。

日本の経済を牽引してきた自動車業界では待ったなしの改革が加速しています。

もっとも、働き方改革が社風にそぐわないであろうと揶揄されることもありましたが、メーカー各社は職場環境の改善に務め、積極的にホームページ等で公開し風通しの良い健全なイメージをアピールしています。

来たるべき少子高齢化に伴う労働人口減に、いかに優秀な人材を確保、維持していくか、全業界共通の重大な課題に取り組む姿勢が表れていると言えるでしょう。

最大手トヨタでは、残業時間に関係なく毎月一定の残業代を支給することにより給与とモチベーションの両方をアップ、また在宅勤務の拡大など、世界の競合を見据えた改革を行っています。

また残業そのものを削減していくために、管理職の意識改革も、必要を感じた上で評価基準に残業時間の削減を設定したことも、大きな進歩と言えるのではないでしょうか。

かつてこの業界では、だらだら残業するのを良しとする悪しき習慣が散見されていました。

しかし、部下の管理マネージメントの一部として、就業時間を仕事の質と共に重視する姿勢が高評価されるようになってきています。

働き方改革でどう変わる?

すでに販売店でも、一斉休日を設けるなど社員が休める環境を整えつつあります。

今ではかなり顧客にも理解が得られています。

70年ぶりの大改革と言われる残業時間の大幅圧縮、年次有給休暇の確実な取得に、労働環境の改善が顕著に見られるようになっています。

また同一労働同一賃金、非正規雇用の処遇改善に向け更なる取り組みが進んでいます。

期間工職員の特別休暇制度などもその一例です。

出産、育児と仕事を両立しやすい職場の整備もはかられており、時間単位で有給休暇を取得したり、スムーズな復帰の手助けにより、口調な人材の流出を食い止め、確保につなげています。

就労時間の短縮、有給休暇の柔軟性な取得は育児だけでなく、もう一つの社会問題、介護にも解決の一石を投じています。

まさしく今、現代社会が抱えている課題の解決に通じているのです。

このような労働者の個々の事情に応じて、多様な働き方を自ら選択し、明るい展望の満足した生活を送ることが目標に掲げられています。

働き方改革のメリット・デメリット

職業生活の充実をめざし、国が講じている次のような施策は、雇用関係上弱者となりがちな労働者を救済、その立場を安定的に維持するものとして改革を推進しています。

 

・労働時間の短縮と労働条件の改善
・雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
・多様な就業形態の普及、仕事と生活(育児、介護、治療)の両立

 

雇用される側にとって、各々の事情、背景にマッチした働き方が実現すれば、満足度に比例して仕事の効率も上がることが期待されます。

今や生涯の中で、子育て期間、介護期間は避けては通れない時代になりました。

離職することなく、安定した収入を得るのは重要なポイントです。

長生きして、現役で働くことが出来る職場の環境整備はモチベーションの持続にも良い影響をもたらします。

今回の法改正は、国民が健康で長生きして就労を続けることが出来る社会の構築を目標としているため、労働者にとってより生活の向上に直結する意味でメリットは高いでしょう。

良い条件の職場を見つけやすくなり、選択肢が増えるので、自分に合った企業を探しやすくなります。

では企業側にとってのメリットは、どうでしょうか。

就業時間に制限をかけることにより、仕事の効率化をはかり、生産性を高めていかなければなりません。

正しい方向で進めれば企業全体の成長を促す結果につながります。

社内が活発化すれば、新たな事業分野の開拓、進出も可能となります。

ただし、単に時間の短縮、賃金のアップのみを行えば、財政悪化を引き起こし、存続自体が危うくなる可能性も否めません。

特に販売店では顧客対応がもっとも重要な職務となっており、人手不足や営業時間の短縮で客離れが生じるリスクも存在します。

また在宅勤務の増加により密な連携がスピーディーに取りにくいといった課題も生じています。

まとめ

魅力的な職場環境、それは従業員にとっても企業にとっても双方にメリットを生み出すものでなければなりません。

働く人が成長するイコール企業の躍進につながるのです。

毎日毎朝、全員で顔を合わせて仕事を始めるのではなく、フレックスタイム、在宅勤務など全ての職種で、一部在社での連携、オンラインでの打ち合わせを活用し共通の意識を確認し合うことで、一体感を持って取り組むことが出来ます。

また年功給にたよらない、能力給を導入して、これからの戦力として期待する若手のモチベーションを上げて活躍の場を展開していきます。

総人口の半分を占める女性の労働力も育児支援を積極的に行い、能力を発揮できるようサポートして確保、積み上げたキャリアを生かせる取り組みが重要になってきます。

すでに、事業所内託児所を設置しているメーカーもあり、先行するモデルとして大変参考になるでしょう。

老若男女問わず、働きやすい環境整備を念頭に進めて企業の発展に結びつける取り組みは今後も加速する事が考えられます。