日本は世界でも有数の自動車大国です。

そんな日本の自動車業界ですが、人材不足・人材育成に悩まされている企業が多くあります。

その理由は一体どこにあるのでしょうか?

今回は、人材確保の難しさと人材育成に悩まされる理由について解説いたします。

理由としては、主に次の3つが挙げられます

・自動車業界志望者の減少
・自動車開発領域の多様化
・自動車技術の高度化による指導者不足

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

自動車業界志望者の減少

人材確保の難しさは、自動車業界志望者の減少に端を発しています。

少子化の影響はもちろん、近年ではYouTuberやブロガーなど稼ぐ手段が多様化しており、多くの業界で人材不足に陥っていることは確かです。

そもそも、今の若者の多くは車を「移動手段の一つ」としか捉えておらず、自動車業界そのものに魅力を感じている人が少なくなっている傾向にあります。

それとは裏腹に、現在の自動車業界は自動運転技術や、電気自動車をはじめとした化石燃料に変わる代替エネルギーを使った技術の向上に力を入れている状況です。

そこで他の国に遅れを取らないためにも、より多くの優秀な人材を確保したいと思うのは当然でしょう。

そのためには「やりたい仕事が自動車業界にもあるんだ」というメッセージを今の若者に広めていかなければなりません。

それは一企業がすればいいというわけではなく、業界全体で盛り上げようとする自動車業界のイメージアップ戦略が重要なのではないでしょうか。

開発領域の多様化

ご存じのとおり、自動車は様々な技術の結晶体ですが、現在、全ての技術分野で人材を確保するのが難しい状況にあります。

自動運転を始めとした技術分野は多岐にわたっていますが、それらには電気・電子分野や、電池開発に関わる科学分野など、多くのエンジニアが必要なのです。

これからはIT技術を活かしたAI関連技術も大いに重要であることは、容易に想像できるでしょう。

ただでさえ自動車業界志望の人材が少ない中で、それぞれの専門分野の人材を確保するのはかなり厳しい状況にあります。

さらに言えば、人材確保ができても教育するのにも時間がかかります。

一人前になるのに2~3年近くかかるとされているため、少しでも早く人を採用したいところではありますが、現状を踏まえると難しいと言わざるを得ないでしょう。

自動車技術の高度化による指導者不足

自動車技術は日々進化していますが、その技術がどんどん高度化しており、指導が追いついていないのが現状です。

最前線にいる人は理解していて当然ですが、高度化した技術を指導するには、指導する人がその技術について理解していなければなりません。

つまり、指導者になれる人は限られてくるということです。

ところが、そもそも人材不足の真っ只中なため、通常業務をこなした上で指導にあたるのは至難の業でしょう。

ただでさえ少ない技術者が全てをこなそうとすると、激務になってしまうことが予想されます。

限られた人材を最大限に活かすのは良いのですが、一部の人に負担がかかりすぎてしまう恐れもあります。

人材育成が難しいということは、人材確保が難しいがゆえに起こることとも言えるかもしれません。

まとめ

・自動車業界志望者の減少
・自動車開発領域の多様化
・自動車技術の高度化による指導者不足

上記の3つは、いずれも自動車業界に対する魅力が減ってきたことが根本にあるのかもしれません。

今後、自動車業界が人材を確保するためには、少なくとも日本の自動車業界のイメージアップが必要なのではないでしょうか。