2019年現在、自動車業界の中核を握っているのはアメリカでも日本でもなく、中国です。

中国における自動車販売台数は国別にみて圧倒的1位です。

ここ20年ほどで急成長し、世界の自動車業界の様相が変わってきています。

あまりにも急成長していますが、中国の自動車業界はまだ成長の余地があるのでしょうか。

また、成長していくにあたってどのような課題があるでしょうか。

そこで今回は、中国の自動車業界の成長と課題についてご紹介いたします。

中国での自動車販売台数

2018年における、中国での自動車販売台数は2,808万台です。

2位のアメリカに700万台以上の差をつけ、圧倒的な販売台数となっています。
(参考:2018年グローバル新車販売台数速報より)

2000年頃にはまだ200万台ほどの販売台数でしたので、たった18年で10倍以上の急成長したことになります。

圧倒的な伸び率で世界1位になったわけですが、今後もこの増加傾向は続く見込みです。

というのも、自動車普及率のランキングを見ると、中国は91位とまだまだ低い状況にあるからです。

販売台数2位のアメリカは普及率ランキングで2位、販売台数3位の日本は普及率ランキングで14位となっており、その差は明らかです。

今後もますます中国の自動車需要は増えていくでしょう。
(参考:グローバルノートより)

EVへシフトしていく中国

中国では、外資系完成車メーカーは1社につき2社の中国合弁企業しか作ることができない、という制限があります。

しかし、純粋な電気自動車(EV)の製造であれば、その制限はなくなります。

それを利用して、アメリカに本社を置くEV専門メーカー「テスラ」が、中国での生産に踏み切ったのは有名な話でしょう。

2019年7月現在、テスラの工場が建設中であり年内に生産開始予定、将来的には複数の工場を作る予定のようです。
(参考:Bloombergより)
中国は中長期的にEVの生産・販売台数を増やし、2025年には販売台数のうち20%をEV車にすると宣言しています。

つまり、今後、ガソリン車からEVにシフトしていくということを大々的に発表したということです。

発表した2025年までに実現するかどうかは別として、世界的に環境問題への取り組み強化・化石燃料の枯渇といった問題点があることから、今後ガソリンから新エネルギーにシフトしていくのは明らかでしょう。

従来のガソリンエンジン車の技術力ではアメリカ・ドイツ・日本の三大自動車大国には及ばないと考え、これから発展していくであろうEV車にシフトした中国の戦略は合理的と言えるのではないでしょうか。

中国自動車業界の課題

前述したとおり、中国は現在電気自動車(EV)技術に力を入れています。

しかし、ビジネスモデルが未だグローバルスタンダードになっていないために、アメリカとの貿易戦争が巻き起こっています。

このまま中国がEV車大国として輸出できる国になったとしても、貿易問題で自動車の保有台数世界一のアメリカ市場をターゲットにできなければ、世界に通用する国にはなり得ないでしょう。

中国自身が世界一の自動車市場を持っているのは確かですが、輸出で外貨を取り入れられない状態では発展は見込めません。

今後の中国の動きに注目です。

まとめ

中国の自動車市場は成長し続け、2019年現在では世界一巨大なマーケットとなっています。

中国政府の後押しもあって、中国の自動車業界はEVに大きくシフトしていくのはまず間違いないでしょう。

EV戦略がうまくいった場合、今後の貿易問題次第で、中国の自動車業界がさらに成長していけるのかどうかが決まるかもしれません。