決算月が近づくと頭を抱え込む経営者の方も少なくないでしょう。

特に、自動車業界は他の業界と違い、税務処理も複雑で、経理担当泣かせとも言われています。

適正な税務申告を行うために、自社の経営状況を正しく把握して、正しい計算を行いましょう。

車屋さんの経理の基本

なぜ、自動車業界の経理処理が複雑と言われているのか?

それは、ずばり業務の内容が多岐にわたるからです。

新車や中古車の販売、修理、車検を取り扱う車屋さんなら、それぞれ代金、税金、保険など様々な費用が発生して、それぞれを正しく仕訳していかなければなりません。

預かり金勘定だけでもいくつもの項目が発生して日々の経理処理も容易ではないのが実状でしょう。

例えば車の修理を保険でまかなった場合、通常の支払いとは処理が異なります。

またユーザーが車の購入にローンを組む場合や諸税の取り扱いなど、処理が煩雑となっていきます。

適正な経理処理を行うには税理士のアドバイスを受けながら、一つずつ手をつけてくことが重要です。

 

車屋さんでは、一般的な仕入れと売上がメインとなる経理だけでは到底収められないほど細かい分類が成されています。

毎年の決算時に慌てることが無いよう、毎月の出金を証明する領収書などは、月ごとに分類しておく必要があります。

また出入金の細かい記載を習慣づけるようにしましょう。

領収書の保管は当たり前のことですが、無い出費の説明ができるように出金伝票や現金出納簿など、現金の記録を作成します。

日付、金額、明細を控えておけば、見直したときに作業がしやすくなります。

車の販売、修理、車検、税金、保険料と多くの料金を扱う車屋さんの経理は、きちんと区別して管理しておかないと後々、大変なことになります。

あまり知られていませんが、ユーザーの死亡により、車が相続の対象となるケースもあるため、車屋さんにおける経理処理は相応の知識が求められるのです。

車屋さんの経理の流れ

それぞれの業務内容に応じて経理処理が異なることが車屋さんの経理を複雑にしている、というのは具体的にはどういうことなのでしょうか。

まず、車を販売したときの経理処理では、仕入れ価格、販売価格、税金、自賠責保険料、任意自動車保険料、リサイクル預託金が発生します。

特に中古車の場合、税金や自賠責保険の未経過分は代金の一部として売上高に計上して、消費税の課税対象となります。

本体価格や部品、代行手数料、車庫証明申請にかかる手数料も消費税が課税されます。

リサイクル預託金も同様の扱いになりますが、金銭債権の譲渡となるため、消費税はかかりません。

後の処理を考慮して項目を別にしておくとわかりやすくなります。

そして、計上日も注意が必要です。

自賠責の保険料を顧客から預かった日と実際に振り込んだ日は違うことが多いのですが、手数料の収入は振り込んだ日に計上しなければなりません。

修理に関わる経理処理では、部品代ごとに工賃を分けます。

また、消費税も課税されます。

なお、外部に修理を依頼したときは外注費となります。

車検、整備では自賠責保険料、検査登録法定費用等印紙、重量税を、預かり金勘定(立替金)として処理、整備料金や手数料は売上に計上します。

支払いの伴わない費用の計上も忘れないようにして下さい。

業務を正常に遂行する上で必要不可欠な物品等の減価償却費の計上も重要になってきます。

よく間違えるポイント

ここまで見ていただくとおわかりだと思いますが、勘定項目の分け方、解釈が非常に複雑であるため、専門的な知識が必要になってきます。

毎月入出金の記載と管理を行った上で税理士のアドバイスを受けるようにすれば、ミスは大幅に減らすことができるでしょう。

また、発生する支払いによって消費税の課税対象か否か、よく見極めることも重要です。

こと税金に関しては間違いやすく、その後の修正も手間がかかりますので慎重に行いましょう。

中古車を販売する際、自動車税、自賠責保険料、リサイクル預託金の経理処理と消費税については特に気をつけなければなりません。

未経過分の自動車税および自賠責保険料は売上高に計上し、消費税の課税対象となるようにします。

リサイクル預託金は非課税となる点もご注意下さい。

まとめ

経理処理が複雑な業界として一二を争う自動車業界ですが、 その中でも車の販売から修理、車検、保険代行などたくさんの業務をこなす車屋さんの苦労は想像を超えるものがあります。

本来の業務に支障をきたさないよう、常日頃から分野ごとに分別して入出金の記録と管理をこまめにしておくことが重要なポイントです。

特に自動車業界に詳しい税理士に相談してアドバイスを受けておくことも経理処理をスムーズに進める上で大切になってきます。

経営戦略を立てるには、自社のキャッシュフローをしっかりと把握しておくことが鍵となります。

資金繰りを安定させ、上手に節税効果を出すためにも普段から計画的な準備が必須と言えるでしょう。